写真データをレーザー彫刻できる?やり方やコツなど詳しく解説

結婚式や誕生日、記念日などのお祝いの写真、またお子様やペットなどのかわいい瞬間を残した写真など、まさに世界で一つのオリジナル作品が作成できる写真のレーザー彫刻。

シンプルに素材に文字やロゴを入れるレーザー加工より、難易度はやや上がりますが、ご自宅や会社にレーザー加工機をお持ちの方には、ぜひチャレンジしていただきたい加工です。

たとえば個人目的の使用であれば、写真をデータやプリントした状態でアルバムに残しておいても、後々見返す機会はあまりないですが、レーザー彫刻をして作品にすることで、メモリアルな瞬間としていつまでも思い出として残しておくことができます。

また、企業での使用の場合には、画像のレーザー加工を施した商品やグッズ、ノベルティなどが製作できるようになり、新たなビジネスチャンスが広がるでしょう。

しかし、一言で写真といってもコントラストや色彩、色調などは写真によってさまざま。一見きれいに見える写真でも、そのままレーザー彫刻を行おうとすると、うまくいかないことも。

本文では、これからセルフで写真のレーザー加工を行いたいとお考えの方へ向けて、手順や、気をつけるべきポイントなどを解説します。

 

写真データをレーザー彫刻するには?

写真を素材にレーザー彫刻するには、まず元データとなる画像を「モノクロ2階調」に変換する必要があります。

元の写真はカラーですが、レーザー彫刻での仕上がりは、彫りの濃淡で表現されるため、より輪郭やコントラストをくっきりさせておく目的です。

変換ソフトとしてはAdobe Photoshop が最も有名。しかし、Adobe Photoshopは機能が多すぎて操作が難しいとお考えの方には、レーザー彫刻専用の画像加工に特化したソフトも多数ラインナップされています。必要に応じて使いやすいものを選びましょう。

写真データをレーザー彫刻する10 STEP


写真データをきれいにレーザー彫刻するには、元となる画像をレーザー彫刻に適した状態へ修正する作業がとても大切です。その後、レーザー加工を行なっていきますが、実際の加工の前に、もうひと手間。レーザー彫刻機のパラメータを探る作業をしておきましょう。以下で、手順について詳しく解説していきます。

STEP.1 写真データの確認
まずは写真の解像度を確認しましょう。元データとなる写真は、長辺1024px以上の、高解像度の写真がおすすめです。これより小さいサイズだと、仕上りがぼやけてしまう可能性があります。

STEP.2 背景を消す
より被写体を目立たせるため、あらかじめ背景を削除しておきます。Photoshopであれば、自動選択ツールや、なげなわツールを使用して、被写体を選択し、背景は消去します。

STEP.3 グレースケールに変更
ソフトによっては読み込みと同時に、グレースケールに変更してくれるものもありますが、自動で変換されない場合は、背景を消去した後のタイミングで、グレースケールにしましょう。

STEP.4 コントラストのレベルを上げる
次に色調補正をしていきます。実はレーザー彫刻は、グラデーションをなめらかに表現することは不得手です。あらかじめ画像の中の、明るい部分と暗い部分を明確に分け、コントラストつけておく必要があります。
補正にはさまざまな方法がありますが、一例として今回はPhotoshopのトーンカーブを使用した方法を解説します。

まずトーンカーブを開いた後、S字カーブを描くと、白っぽい箇所はより明るく、黒っぽい箇所はより暗くなり、簡単にコントラストをつけるができます。

コントラストレベルの目安を、情報パネルの数字で表現すると、0%=白、100%=黒とした場合、最も明るく表現したい箇所は20%以下にし、暗く表現したい箇所は90%以上にするとよいでしょう。

STEP.5 細かなパーツの補正
写真全体のコントラスト調整後、細かなパーツも明るさの調整を行なっていきます。

グレースケールになった後の写真は、中の色の濃さが似ている箇所は、レーザー彫刻を行った際、違いがはっきりとせず、ぼやけた印象になりがちです。

似た濃度のモチーフが隣接する場合には、レイヤーマスクなどを部分的に使用し、個別にコントラストをつけていくとよいでしょう。

STEP.6 細部パーツのコントラストを微調整
メインの被写体への加工が済んだら、次は細部の明るさを調整していきます。メインの被写体の時と同様に、隣接した細部のパーツの濃度が似ている時は部分的に、コントラストを上げると、仕上がりがきれいです。

Photoshopであれば、「覆い焼きツール」を使って、範囲を「ハイライト」に設定し、目的部分をなぞると少しずつ明るくすることができます。逆に、暗くしたい場合は「焼き込みツール」を使用し、範囲を「シャドウ」に設定しましょう。

この加工により、たとえば顔のパーツの中でも瞳、眉毛、白目、黒目といったそれぞれのパーツに色の濃淡をつけ、立体的に見せることができます。

STEP.7 写真のサイズ変更
もし、画像のサイズが大きい場合には、ここで横幅1200pxくらいに小さくしておきます。

STEP.8 シャープ加工
最後に、画像をよりはっきりさせるため、シャープ加工を施します。Photoshopでいうと「アンシャープマスク」加工です。

目安として、まず量は200%で、半径1.0px、かつしきい値は0で掛けてみると、写真がよりくっきりと見えるようになるでしょう。

お好みで調整可能ですが、コツとしてはこの段階で、少しシャープになり過ぎているように見えるくらいで、仕上がりはちょうどよくなります。

STEP.9 保存
以上で写真の加工が終了しました。最後はjpgで保存しましょう。

保存の際は、これ以降の工程で、環境による色の変化を極力抑えるために、「カラープロファイルの埋め込み」には必ずチェックを入れておきます。

STEP.10 レーザー加工(最適なパラメータを見つける)
画像の修正が完了したら、いざレーザー加工になりますが、細かな方法はレーザー彫刻機や彫刻を行う素材によっても変わってきます。

ここではどんな彫刻機や素材の場合でも、共通して行っておくとよい、パラメータを探る作業(本加工の前に、グレースケールマトリックスを使用してのテスト彫刻を行うこと)について解説します。

ところでレーザー彫刻機は画像の濃淡を、レーザー加工自体の強さ、ではなく、照射の密度で表現します。対象物にレーザーが照射された際の、1個1個の点が小さければ小さいほど、細かな表現が可能となります。

点を小さくするには、レーザー加工機のレンズを小さなものに交換する方法のほか、なるべく弱いエネルギーで加工する、ということがとても大切です。

強いエネルギーでの加工は、照射部分より、広い範囲をも燃やしてしまう可能性があるため、なるべく、画像の明るい部分には、かろうじて見える程度の薄い跡がつくパラメータ見つけるのがきれいな加工のポイントです。

最適なパラメータを見つけるには、まず最終的に加工する予定の素材と同じものを用意してください。次に、レーザー加工のスピードやパワーなどの条件を少しずつ変えながら、仕上がりの濃淡を比較し、サンプルを作るという地道な作業が不可欠です。

上記の工程をきちんと経ることで、先に行った画像加工の効果も発揮され、美しい仕上がりが実現するので、ぜひ省かずに行いましょう。

レーザー彫刻に適している写真と適していない写真

レーザー彫刻に適している写真とは、露光が十分で、画像イメージが鮮明かつ、くっきりした写真です。なるべく最初から写りがクリアで、コントラストが強い写真を選ぶとよいでしょう。輪郭が分かりやすく、色の濃淡がはっきりしている写真が向いています。

一方で人物のシルエットがどんなに目立っていても、露出が弱く、人物に影がかかったように見える写真は適していません。このような写真は、画像の詳細情報を確認することが難しく、人物が背景と一体化して彫刻されてしまうため、なるべく避けましょう。

写真データをレーザー彫刻する際の注意点

写真データのレーザー彫刻をきれいに仕上げるには、元データの解像度が重要になってきます。

仕上がりの輪郭がギザギザになってしまうなどの例は、低解像度の画像を、サイズ変更なしで使用してしまうことによって起こります。

ところで画像データについては、ピクセルと解像度の関係についてまず頭に入れておきましょう。

写真のデータは、色のついた細かい点の集合体で表現されますが、その単位が「ピクセル」と呼ばれるものです。そしてピクセルを物理的な大きさで表したものをdpi(解像度)と呼びます。

dpiとは1インチ=2.54cm四方の中に、どれだけの点が入っているかを表す単位です。dpiの数値が大きければ大きいほど、中にたくさんのピクセルが含まれていることになり、解像度も上がります。

例として、720 x 480 で 72dpi の画像データの場合、1ピクセルのサイズは、0.3527mmとなります。よって画像全体の実寸は、253.99mm x 169.33mm。このデータを、サイズ調整をせずに、レーザー加工を行うと、ぼんやりとして細部の繊細な表現が失われた仕上がりになりがちです。

上記の場合、たとえば、レーザー焦点のサイズが 0.08mm であるとすると、解像度は、1ピクセルが 0.0846mm となる、300dpi になるように設定するとよいでしょう。

元のデータが720 x 480、72dpi であったとしても、300dpi の設定で再出力を行い、その後、サイズを小さくすることで、画像のディテールの荒れを、ある程度防ぐことができます。

 

まとめ

写真データをレーザー彫刻する際の方法や、コツなどについて解説してきました。

文字やロゴのレーザー彫刻の場合より、注意すべきポイントは多いですが、何度か試して、コツを掴めば仕上がりの美しさに満足できるようになるでしょう。

画像データは選定の段階で、なるべく被写体がくっきりと映った、高解像度のものを用意すると、その後の加工が楽になります。

もし、レーザー加工自体は業者に依頼する場合でも、データの処理を自分でしておくことができれば、画像の加工費がかからず、コスト削減にもなります。ぜひ本文を参考に、写真のレーザー加工に挑戦してみてください。

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