簡単に、さまざまな素材にオリジナルのロゴやイラスト、画像をプリントできるレーザー彫刻機。企業の販促物やブランドのオリジナルグッズ、クリエイターが販売する作品、またはホビーユースまで幅広い用途がありますよね。今回は、レーザー彫刻を業者に依頼する際に、最も気になる「料金」について解説します。
レーザー彫刻を依頼する時の料金はいくらかかるのか?
レーザー彫刻をしたい場合、レーザー彫刻機を購入して、自分で行う方法と、業者に依頼する方法があります。レーザー彫刻機は、最も手頃な小型のものだと1万円前後から手に入るので、場合によっては購入して自分で加工を行った方が安上がりに思えるかもしれません。
しかし、安価なレーザー彫刻機は、手軽に買える反面、圧倒的にパワーが弱いという特徴があり、彫刻したい素材へ、自分の求めるレベルでの彫刻は難しいことが多いです。それでも、ある程度上位レベルの家庭用レーザー彫刻機を購入して、使いこなせれば元を取ることはできるでしょう。
しかし、機械が到着し、組み立て、説明書を読み、レーザー彫刻が求める仕上がりになるまで試作を繰り返し、微調整を行う、という一連の作業に一定の時間が取られてしまうことは確かです。もし、一定の期間までに確実にイメージ通りのレーザー彫刻を施したい場合には、業者に依頼した方が早く、満足のいく仕上がりになるでしょう。
「でも少量だと高くなってしまうのでは?」という不安がある場合、答えはNOです。レーザー彫刻には、一般的に最初の段階でかかる金型や版などの費用は不要なため、小ロットでの依頼が可能。注文は1個から受け付けている業者も多いです。
ゆくゆくはレーザー彫刻機を購入して、自分での加工をお考えの方も、まずはお試しで業者に依頼してみるのがおすすめです。実際にレーザー彫刻機を選ぶ際の加工と費用の参考になりますよ。
それでは、レーザー彫刻を業者に依頼した時にかかる料金は一体どのくらいなのでしょうか。実は料金体系は、業者により千差万別です。また彫刻を施したい対象物によっても料金は変わってきます。以下では、さらに詳しく料金について解説していきます。
レーザー彫刻にかかる料金は何で決まるのか?
レーザー彫刻を業者に依頼する場合には、必ず最初に見積もりを取るようにしましょう。
レーザー彫刻にさまざまな料金体系が存在する理由として、業者によって料金が発生する基準が違うことが挙げられます。
まず素材の種類。レーザー彫刻は紙、アクリル、木材、金属、ガラス、皮革、布、陶器、石…と実にさまざまな素材へ加工が可能です。素材によっては簡単に彫刻が入りますが、中には加工の難易度の高い素材もあります。
例えば、紙や薄いアクリルなどは、出力の弱いハンディタイプのレーザー彫刻機でも比較的短時間できれいに彫刻が可能。しかし金属やガラスになってくると、時間がかかり、パワーのある加工機でなければ加工が難しくなってきます。
次に、硬さや厚み。金属のように硬い素材や、木材でも厚みのある素材を扱う場合は、「彫刻の濃さ」が問題になります。どうしても硬い、または厚い素材は、一度でくっきりとした彫刻を行うのが難しいため、求める濃さになるまで何度も加工を繰り返さなければなりません。
その他、データに関しても注意が必要です。文字やロゴをあらかじめ用意されている業者のラインナップから選ぶ場合には問題ありませんが、オリジナルものにしたい場合は自分で用意する必要があります。データの形式は業者の指定する方法で準備しましょう。
写真を入れたい場合は、業者によってはオリジナルデータから、加工用に変換作業を行わなければいけない関係で、データ加工料が発生します。さらにクオリティにこだわる場合には、例えばレーザー加工により発生するヤニや汚れが材料に付着するのを防止する処理を行うこともでき、そうした仕上げをきれいに見せる費用が発生することもあります。
レーザー彫刻の料金相場を徹底調査
業者により、さまざまな料金体系が存在するレーザー彫刻。まずは、自分が加工を行いたい素材と範囲をよく確認することが大切です。彫刻したいものが文字か写真かによっても大きく変わります。本文では実際にレーザー加工を行っている3社を比較して、加工の費用がどのように違うか解説します。
まず幅広い素材への加工が可能なA社の場合、基本料金は加工にかかる時間によって決まります。1分300円に設定されており、これはアクリルで20mm×20mmを加工した場合に相当します。
基本料金に加え、もし写真を彫刻したい場合には、持ち込みデータを加工用データに変換するための手数料として、データ処理料が発生します。また、A社ではデータの作成も請け負っているため、もし手書きのイラストなどを彫刻したい場合には、イラストをデータに落とし込む費用がかかります。
素材に関しては、持ち込みの場合(素材名がはっきりしているものに限る)はかかりませんが、業者で用意してもらう場合には、別途発生します。そして、A社ではプラスチック製品など、素材の詳細が不明な場合は、持ち込みでの加工は不可です。
一方B社ではサイズと素材別に料金が決まっています。取り扱いのある代表的な素材としては、アクリル、木材、コルク、ステンレスで、範囲は30mm×30mmから455mm×600mmと幅があります。
例えば、アクリルに文字を入れたい場合は、30mm×30mmの範囲なら500円、A4サイズなら3,800円、B3サイズなら7,500円に設定されています。写真になると30mm×30mmで1,000円、A4サイズで7,600円、B3サイズで15,000円に変わります。
ジュエリーなどの小さな金属へのレーザー加工を得意とするC社では、例えばリングの表面に文字(〜5文字)を入れる場合、浅彫りで1,000円、深彫りで2,000円。リングの裏側に文字(〜5文字)を入れる場合、浅彫りで1,500円、深彫りで3,000円と設定されています。
金属のプレートへのロゴマーク等の文字入れに関しては、範囲で設定されており、例えば31mm〜50mmであれば浅彫りで5,000円、ロゴでなく写真になると同じ31mm〜50mmの範囲で8,000円に変わります。
以上3社を比較してみても、料金体系が全く違うことがお分かりいただけたでしょうか。加工業者によって得手不得手、また所有するレーザー加工機も変わります。ぜひ依頼前に複数の業者の見積もりを取って、比較することをおすすめします。
レーザー彫刻を依頼する際の注意点
レーザー彫刻を業者に依頼すると、セルフで行うより、格段にきれいに仕上がりますが、残念ながら失敗の可能性がゼロ、とは言い切れません。後々のトラブルを避けるためにも、大切な1点ものや形見など、代えのきかない品物は失敗のリスクをよく考えた上で依頼しましょう。
また文字やメッセージの彫刻を依頼した場合には、完成後、依頼した文字が間違いなく彫られているか一字一句確認することが大切です。もし贈り物にする場合には、名前や数字など1文字でも間違っていれば、失礼にあたってしまいます。間違いを発見した場合には、速やかに業者に連絡をしましょう。
レーザー彫刻機は機械ですが、データ作成や、機械を動かす、前後の作業はあくまで人の手で行われるため、どうしても稀に失敗はつきものです。事前に業者の補償に関しての取り扱いもよく確認しておきましょう。
他には、そもそもレーザー加工できない素材についても注意が必要です。例えば塩化ビニールや塩素が含まれた素材は、レーザー加工を施すことによって有害なガスが発生することで有名です。またテフロンやフッ素なども同様に有害ガスが発生します。
素材の持ち込みが可能な場合には、業者からも持ち込む素材の詳細の確認はされると予想されます。ですが、自分でもあらかじめ加工できない品について把握しておき、そうした品の持ち込みは避けるようにしましょう。
依頼するのとレーザー彫刻機を買うのはどっちがオトク?
現在レーザー彫刻機にはさまざまなメーカーが参入しており、たくさんの種類が出回っています。もちろん値段もピンからキリまであり、安価なものなら1回業者に依頼するより、本体価格の方が安い場合も。
しかし、購入する場合には「自分の行いたい加工ができるか」よく確認する必要があるでしょう。細かく言うと、レーザー加工を施したい素材と範囲、また仕上がりの濃さ、製作する量などがチェックポイントです。
例えば紙や薄い木材、またはアクリルに小さなロゴを入れるのみといった用途であれば、家庭用でも対応できるでしょう。海外製の最も安価なタイプは1〜6万円前後で手に入ります。
しかし、安すぎるレーザー加工機では満足のいく仕上がりにならないことも多いです。多くは出力が弱いため印字が薄く、対応できる範囲が狭いといった特徴があります。また日本語の説明書がなかったり、保証がなかったりと、本格的に使うにはあまり向きません。
もう少し安定した使い心地で、少々厚みのある素材や広い範囲にも対応できる機種を求めると、20万円前後からが相場です。さらに質を追求し、レーザー彫刻によって商品価値を高めたい、といった場合には、100万円以上のものもあるため、こうなると、家庭用は安いとは言い切れません。
またレーザー加工機の使用に慣れて使いこなせるようになるまで、ある程度の時間も必要です。大量に製作する必要がある場合には初期投資をいずれ回収できる可能性もありますが、加工機はあくまで1台。一度に複数の加工ができる上位モデルもありますが、業者に依頼するより時短になるかはケースバイケースでしょう。
もし見積もりを取って実際に依頼した業者の仕上がりに満足したならば、同じものを今度は数をまとめて注文すれば1個あたりの割引を行っている業者は実は多いです。しかし業者に依頼した場合には、納期がかかるという点も加味しつつ、どちらが自分にとってメリットがあるか判断するといいでしょう。
まとめ
レーザー彫刻を、業者に依頼する場合の料金や注意点などについて解説してきました。レーザー彫刻機が安価に購入できるようになった昨今ですが、やはり仕上がりの美しさやパワーを追求すると、上位モデルの価格はまだまだ高いと言えるでしょう。
また使いこなせるようになるまで試行錯誤する時間を考えると、場合によっては業者に依頼した方が安く上がることもあるかもしれません。依頼する際はまず、自分が加工を行いたい素材の取り扱いがあるか確認し、いくつかの業者に絞り込んだら、必ず見積もりを取るようにしましょう。ぜひ本文を参考に、納得のいくレーザー加工業者を探してみてください。